活動報告 JBSA東京 2024年5月5日 定期活動
JBSA東京5月5日(こどもの日)定期活動報告
村井 優夫(24.05.24)
【活動日】2024年5月5日
【活動名】のんびりクルージング
【事業種別】普及啓発事業
【活動種別】定期活動
【担当支部】東京支部
【使用艇】あほうどり
【参加者数】合計:8名(会員:6名,体験:2名,その他:0名)
・ブラインド 村井,みずた,とのがいち,Kさん(体験者)
・サイテッド みば,古庄,そえだ,Sさん(体験者)
【天気】晴れ
【波高】1〜2メートル
【気温】20度
【風速】4から6ノット 南西
【航行時間】10時19分出港 13時00分帰港(2時間41分)
【航行距離】20.52キロメートル
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JBSAの村井です。夢の島あほうどり5月5日(こどもの日)の活動報告をいたします。
この日は体験者が二人あり、そして二人とも佐藤さん主催の餃子の会に参加していた人です。一人は水田さんのゲストで、国リハからのお知り合いのブラインドの男性K氏。もう一人は私のゲストで、ブラインドサッカーのチームのメンバーのサイテッドの女性Sさんです。
彼女はブラインドサッカーのチームではコーラーという役割をしており、ゴールの後ろから仲間にゴール前「・・・メートル」とか、「シュート」とか声を出して指示するいわば勝利の女神なのです。しかし、残念なことにSさんはGWが終わるとまもなく、大阪に移住してしまうのです。また彼女の実家と出身高校が羽田の近くであるということもあり、大阪へ行く前の思い出作りになればと思い、海から自信がこれまで過ごしてきた羽田とディズニーシーを眺めにきてはと、あほうどりに誘った次第です。果たして良い思い出になったか!
そのような体験者二名を迎えての活動となり、波風穏やかな中での良いセーリングとなることを期待したのですが、帆走にはやや厳しい海となりました。しかも5月5日の子供の日!乗っているのはおこちゃまではないけど、体験者さんがいるのにメイストームと呼んでよい中での東京湾クルーズとなってしまいました。
先ず、子供の日ということもあり、殿さんが百円ショップで買ってきた鯉のぼりをあほうどりのスタン側の手すりにくくりつけて、夢の島を出航。ーー鯉のぼりはその後、添田さんによってこいが料理されB旗に変身したようです。ーー京葉線の鉄橋を越えると、なかなかの強い風とうねり。先に出た艇が次々と戻ってきている。その様子を見て、風が強くて皆戻ってきているのかなああ、と。
あほうどりは、ほぼ真向かいの風を受けての機走。艇が上下する。Sさんが船酔いしないかと私は心配しながら様子を見ていたのですが、元気よく皆とお話をしている。出航から一時間かかり、ようやく若洲沖のいつものセールアップポイントに到着。
とりあえず、エンジンを止めて、ジブを試しにフルセールアップ。するとかなりのヒール。これでは今日はセーリングはだめかなあという落胆の声も上がったのですが、そこは古庄さん、ここまで来たのだからセーリングしようと。ということで、ジブを3分の1詰めて、メインは揚げず、セーリング開始。それなりにヒールはしつつも、よく走る。だけど、ジブ一枚であることに加えてのうねりなので、妙な横揺れが止まらない。しかも、上りなので、艇の後方までしぶきが飛んでくる。ヒールバランスをとっていた殿も添田さんはもちろん、皆びしょ濡れ。
しぶきを浴びずにすんだのはバックステー脇に座していた私ぐらいか?
それでも機走のときほど、艇が上下しなくなったので、Sさんの船酔いはしないですむかなあと思ったのですが、ところがどっこい。帆走になってからの妙な揺れが効いてしまったのか、声がしない。さらにしぶきも浴びている様。
それで、「寒くない?」と尋ねると、一言「寒い」と。これはあかんと、キャビンから私のリュックを添田さんに持ってきてもらって、中からヨット着のジャケットを取り出して、それを着てもらう。
そんなこんなでしたが、帆走に変わったところで、いつものごとく、スパークリングの泡を上げて皆で乾杯してましたが・・・。
それでも、大分沖に出てきたので、タックして羽田方面に向かおうとしたのですが、風が一層上がってきていて、これではだめだと、夢の島へ戻ることに。帰りはクウォータリーからアビームで、早いこと、早いこと。
ということで、バースに着けてから船上でお昼ご飯を食べたり、ブルゴーニュ産の白ワインを飲んだり、Sさんも携帯で音楽を流しながら歌を歌ったりで、先ほどまでの船酔いはどこえやら・・・・。さんさんと太陽の光が照らしつける中、添田さんが手作りしてくださったオーニングが大活躍。
そして、いつもより早くマリーナを後にして、これまたいつものように干物屋さんへ。Sさんも。韓国料理やえも寄ったののですが、かき入れ時の連休中なのになぜかお店はお休み。干物屋さんで一時間一杯やってというはずだったのが、結局三時間いてあっという間でした。
という訳で、5月5日の活動は荒天ということもあり、セーリングを早めに切り上げてしまいましたが、レポートを書くに当たり、20年前の5月5日はどうなっていたかと回航記を確認すると、あほうどりは下田に入っていました。
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5月5日(水)
午前4時半、竹内さんの携帯の目覚ましが鳴り出しました。いつものスポーツ番組のテーマソングです。そして、皆起きて出発の準備をしました。安西さんも加 わって、6人が集まりました。安西さんがそのとき、にこにこしながら「久しぶりに荒れた海に乗りたくて、来てしまいました」と挨拶してました。
竹内さんが携帯とパソコンで気象情報を集めていました。予報では竹脇さんが言うとおり、関東地方では前線の影響が残り、北東の風が強く吹くとされていました。竹内さんは「地元の人が西がそれほどでもないと言っているのをどう見るか?」と渋い顔をさせていました。そして、出発をぎりぎりまで遅らせて、6時の NHKの天気予報まで待ちました。ですが、詳細な報道はありませんでした。
午前6時過ぎ、私たちは港に向かいました。すると風はほとんど吹いていませんでした。これなら行けるね、とあほうどりに乗り込み、エンジンを起動させて、横抱きにしていた舫を解きました。そして、隣の船から離れて港の出口に向かい始めたとき、エンジンがいきなり止まってしまいました。坂本さんがすかさずエンジンをチェックしに降りると、「油が漏れている。今日は出られない。戻ろう!」と下から声を上げました。エンジンルームを覗くと、ビルジでなく明らかに油が漏れて貯まっていたのです。満タンに入れ直していたはずの燃料も、タンクの半分にまで減っていました。それでもエンジンをかけるとなんとか動いたので、 先ほどとは反対側の岸壁に着けていたヨットにあほうどりを横抱きさせることが出来ました。そうこうする中に、北東から突風が入り始めました。竹内さんが 「これは出るなということだったんだな」と、ぽつりと呟きました。
そして、あほうどりにオーニングをかけて、ボートサービスが開くのを待ちました。その間 も、竹内さんと坂本さんがエンジンルームを覗いて、どこが悪いのか探していました。燃料ポンプの辺りから油が漏れているようでした。
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と。浦賀のベラシスまで回航することになっていましたが、海が荒れていることに加え、あほうどりのエンジントラブルにより、修理をボートサービスにお願いして、児玉さんなじみのうなぎ屋さんで昼食をとって、踊り子号で帰路に着いてました。
20年前の5月5日同様、2024年も、メイストームに見舞われてしまいました。回航に当たり、竹内さんから5月はメイストームといって海が荒れやすいと聴いてましたが、今年もその言葉通りとなってしまったようです。
さて、sさんはバケツを抱えながらディズニーシーを眺めることになってしまいましたが、良い思い出になったかどうか!
「皆さん、優しくて、面白くて、楽しかったです。ゲロッタリ、マーシーが落ちたり、いろいろありましたが、良い思い出になりました。
と、後ほどラインにメッセージがありました。皆さんのおかげで、バラエティー番組風の言い方をすると、この日の私のミッションは一様達成ということになりましょうか!
参加の皆さん、お疲れ様でした。おかげさまで私のミッションも成功しました。
ありがとうございます。これで5月5日(子供の日)の活動報告を終わります。
と終わりたいところですが、「あれえー!肝心なことが書いていないぞ!」とこの日参加していたメンバーは感じることでしょう。
最後にとっておいた話の落ちをこれから着けたいと思います。Sさんのメッセージにもあった「マーシーが落ちたり」の部分についてなのですが、まさに「落ち」!!!そして、「マーシー」というのは私のことです。ブラインドサッカーの私が所属するティームでは皆それぞれのニックネームで呼び合っているのですが、私は下の名前が「まさお」なので、「マーシー」と呼んでもらっています。
あほうどりをバースに着けて、早々私はトイレに行きたかったので、また同様にトイレにいきたかった数人とマリーナに向かいました。桟橋の狭いところから広くなったところに出て歩いたのですが、もちろんサイテッドと一緒に歩いていましたが、(Sさんではないですよ)、もう桟橋の広いところを歩いているので、私はすっかり油断して大股でどんどんサイテッドの真後ろに着いて歩いていたつもりだったのですが、突如体が浮いた感覚がしたと思ったら、足先が冷たくなり、その瞬間ズボーンと音が聞こえ、もう水中に。
水中にいるんだなあと思いつつ、早く水面上に出なくては!ライジャケをしているので、やがて海面には出るだろうとも。やはり少しでも早く上がろうと、腕を上げて手で水をかいで上がり、まだかと思ったところで、めでたく浮上。空気を吸うことが出来、これで先ずは一安心。人が呼んでいる声が聞こえるので桟橋の方向が分かり、すぐ近くだなあと。その方向に泳ぎ、桟橋のコンクリートに手が届く。腕を伸ばして桟橋に手をかけることが出来、ハエ上がろうとするが、服が濡れていて重くて自分の力だけでは上がれない。桟橋に肘はついているのだけど、上がれない。思い切り腕に力を入れれば上がれるかと。だけど、力を入れると、桟橋のコンクリートのざらざらが当たっていて、かなりすりむくなあと思っていたら、その瞬間みんなで私を引き上げてくれ、桟橋に。
「水を飲まなかった?」と心配して声をかけてくれたり、「ライジャケが膨らんでいるところ初めて見た!」とか。落ちた瞬間体のどこがどう反応したのか、息を止めていたので、水は全く飲まずにすんだのです。そう言われてライジャケを触ってみると、確かにしっかり膨らんで、私の首の周りから胸の辺りまでを覆うようにパンパンになっていました。ボンベを交換してから十年近く立っていたのですが、そのライジャケもしっかり機能してました。
落ちた瞬間は、落ちたと認識する間もなかったので、何が起きたのか分からないけど、水中にいるなあと。上がってきてから桟橋から落ちたんだなと、認識しました。桟橋上で、ある艇のメンバーがメンテナンスでお店を広げていて、通っていく場所のゆとりが人一人分しか歩けない程度になっていたらしく、そこを超えていくときに私が落ちたようです。そんなこと私は知らずまま、もう桟橋の広いところを歩いているとばかり、普通に大股ですたすたとサイテッドに着いて歩いていたのです。
なので、ほぼ垂直に海に落ちたので、沈んだといっても、せいぜい50センチかそこいら!泳いで桟橋まで戻ったといっても、これも1メートルか、1.5メートル。といったところだったのですが、後から考えると、あのとき水を飲んでいたらどうなっていたんだろう!果たしてライジャケが自動膨張式でなく、手動だったら、落ち着いて紐の位置を探って引くことは出来たのか?目が見えていれば、落ちていく瞬間が目に映るので、落ちたとその瞬間に認識出来るので、頭の中の準備が出来ているので、引けたかもしれないけど、不意に落ちて水を飲んで
しまっていたら落ち着いて引くことは出来たのか?おそらくノー。自分のライジャケが自動膨張式で良かったなあと思った次第です。
マイライジャケをお持ちの方は、マリーナに着いたらライジャケを先ず着けてから艇に向かいましょう!そしてマリーナに戻るときもライジャケは着て居ましょう!また、体験者さんには手動式でなく、自動膨張式のライジャケをしてもらう方が良いでしょう!もちろん昔ながらあるウレタンのやつの方がベスト。ライジャケ事態初めて触るものであるだろうし、それに手動式だと、慌てていると、紐を引かないと膨張しないことすら忘れてしまいます。そして、ブラインドの場合は自動膨張の方がよいでしょう。今回の私のように不意におちてしまったとき、
対処出来るかと考えると、自動式の方が確実ではないかと。
私は今回初めて落水してしまい、不意に落ちるとどのようなのか身をもって体験して初めて、ウレタンのライジャケ(膨張式ではない)しか、桜マークのお墨付きを海上保安庁から以前は受け手いなかった(今はどうなっているのか不明)ことが当然至極であることを今さながらしみじみ感じた次第です。
桟橋に上がってから濡れた服が重いなあと思いながらマリーナのトイレにいき、用を足した後、手と顔を洗ってから立ち話をしていると、体が冷えてくる。日差しは強いのに。濡れたままでいても、晴れているし、自分の体温でしばらくすれば乾いてくるだろうと考えていたのですが、これは良くないないなあと思い直して、あほうどりに戻ってから着替えました。前日に江ノ島へハンザに乗りに行っていたので、濡れたとき用の着替えが使わないまま、リュックに入っていたのです。あれほどずぶ濡れになったまま、お店に行ってはさすがの干物屋さんにも、例え常連客とはいえども、嫌われてしまいますしね。
桟橋に自力で上がろうとしたときに擦りむいた肘のところのかさぶたが取れてその跡がちょっと残っている程度になりました。ケガらしいけがはそのくらい。落ちたときに持っていたのは小銭入れとワイアレスいあフォンだけ。アイフォーンと財布はリュックの中に入れたままであほうどりの中においてきていたので、大丈夫でした。小銭入れと中身の小銭は家に帰ってから水で洗って、塩気を落として、日陰干ししてから小銭入れに革油を塗ってメンテナンス。ワイアレスいあフォン(サウンドぴーつ カプセル プロ3 6,500円程度で一年前に買っ
た)は、帰りの電車の中で使ってみたら全く機能せず。これもいあフォン本体といあフォンケースをそれぞれ水道水で洗ってから一日日陰干ししてから充電したら、なんと生き返りました。なので、今日も普通に使えています。
ところで、海はもうそれほど冷たくありませんでしたよ!マリーナの桟橋の周辺だからなのかも知れませんが。泳いでも苦にならない程度の水温。あれなら落ちたついでに、20年前にあほうどりを回航してきて夢の島に到着したとき、落としてしまった自分の白杖を潜って取りに行けば良かったかな!!!
と、話の落ちにいたします。皆さん、くれぐれも落水しないように!
PS.
6月8日はあほうどり回航20周年パーティーです。回航記を是非とも皆さん、お読みいただければと思います。そして、一人でも、多くの方々のご参加をお待ちしております。
報告書作成:村井優夫