10年ぶりの世界選手権参加報告
2019年9月1日~8日、カナダ・オンタリオ州・キングストンで開催されたブラインドセーリング世界選手権大会〔Blind Fleet Racing World Championship 2019〕に日本視覚障害者セーリング協会(JBSA)所属のチームが参加、現地へ遠征しました。
日本チームの世界大会参加は、2013年三浦市シーボニアマリーナで開催されたジャパンワールド以来6年目、海外ワールドへの遠征は2009年ニュージーランド大会以来10年目となる久しぶりの参加になります。
今回の参加国は、地元カナダをはじめアメリカ、イギリス、フランスなど日本を含めて6か国14チーム。 2013年ジャパンワールドの時の6か国19チームからはやや少なくなった感がありますが、現地に入って我が日本チームは、主催国カナダをはじめ各国選手団から大歓迎を受けました。開会式の入場では「遠いアジアから日本が久しぶりに参加してくれた!ありがとう!」とアナウンスされ各国の選手から大きな拍手で迎えられるという歓迎ぶりでした。
大会はキングストンヨットクラブがホストクラブとしてBSI(Blind Sailing International)と協調して運営を担当、WSからはマッシモ・ダイがテクニカルデレゲイトとして会期中全日程でのフル参加でした。大会はこれらコミッティの方々に加え多くのボランティアの方々の力によって、規律正しく校正に運営されました。
レースは9月2日から始まり8日まで7日間、全14レース行われました。ブラインドセーリングは視力障害の程度からB1、B2、B3とクラス分けされますが、日本はB3クラスにエントリーし4チームでの戦いとなりました。連日2~3レースが行われましたが日本チームはまだまだ力不足、対等に走らせることが出来ず、最終的には最下位の4位と残念ながらメダルには届きませんでした。多くの方々に支援を受けての遠征でしたが、成績が出せず申し訳なく大変残念に思っています。
今回のワールド遠征に際しては、我がチームのブラインドセーラーの「世界大会に出たい!」という強い気持ちが後押しとなって実現したものですが、当初はJBSAから2チーム参加予定のところ、諸事情により1チームだけとなってしまった経緯があります。これも長期間にわたる遠征の費用捻出が一因で断念せざるを得なかったことも事実です。このような問題を多少なりとも解決するため、クラウドファンディングを立ち上げて多くの方々からの支援を仰ぐという形をとって世界大会参加に挑戦することにしました。その結果、9月末日のファンディング終了時点で、100名の方々からの寄付をいただき125万円もの支援金が寄せられました。これには感謝の言葉もないほどに有り難いことだと思っています。
今回の世界大会参加にあたって、いくつか感じたことがあり、我々はこれを今後の課題として捉えていこうと考えています。
◆ブラインドセーリングという障がい者ヨットのカテゴリーは世界レベルで厳然として存在している。その中で日本はアジアで唯一のブラインドセーリング活動国であり、BSIはその存在を重要視しており、今後、日本の活動の活性化を期待しているということ。
◆今回の歓迎ぶりもそうであるし、会期中に行われたBSI総会で新会長に選出されたアメリカのBJ Blahnikも日本から参加のブラインドセーラーに「ウイスコンシンの自宅に合宿に来ないか、自分もコーチするから」とも言ってくれています。
このようなことを考えると、日本のブラインドセーリングの活動を活性化することは我々の責務であると感じざるをえません。
◆今回のBSI総会では、今まで2年ごとに行われていた世界大会開催に関して、参加国の資金面その他の問題から4年ごとにしたいとの提案がありましたが、モチベーション維持の観点から4年は長過ぎるのでせめて3年ごとにしてほしいとの意見が出され、結果それが採択され決定したという経緯があります。
これらのことから、日本においても世界を目指すにあたって、普及、強化面と共に資金面からも計画的にプランを組み立てていかなければならないと強く感じています。
最後になりましたが、今回の遠征にあたって、資金集めの面からJBSAからの深い理解を得たことは勿論、JSAFの委員会ほか多方面の方々から絶大なご支援をいただきましたことを大変有り難く思っております。またクラウドファンディングにご寄付いただいた多くの皆さまにも併せて心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
2019年10月7日
JBSA Team ALBA
菊池真実
内村千文
秋山淳
村瀬敏彦