第5回世界選手権2002 ワールド観戦記 寺田豊司

文 寺田豊司(チーム・ジャパン コーチ)

一番驚いた事はレースではなくて、最初の練習日の光景でした。

陸置されている艇を順番に降ろしていきまして、最初イタリアチームが降り、桟橋が狭かったこともあり、フィッティングを手際よく済ませ勢いよく桟橋を蹴って出て行きました。雨の降る中エンジン無しでセールも揚げず、しかも狭い出入り口の向かい風です。向かい側の岸壁に舫うのかと思ったのですが出て行きました。体重移動で艇を左右に大きく揺すりながら風に向かって進んで行き、港の外に出てからジブを揚げて沖に進みメインを揚げました。こんなことって見たことが無かったのでビックリしました。これに倣って他チームも出て行きましたが、日本チームは慣れていないせいか内側に押し戻されてしまいうまくいきませんでした。

ガルーダ湖はイタリア北部ミラノとヴェネチアの中間地点に位置するイタリア最大の湖で幅が2.4キロメートル?最大17.5キロメートル、、長さが51.6キロメートル、最深346メートル、周りを2,000メートル級の山に囲まれた南北に細長い湖で岸近くは風が無いのに沖は風が強く白波が立っています。しかも午前中は北風で昼近くに風が無くなり、午後は南風になるというヨット競技にはかなり難しい自然環境だと思いました。

レースコースは上、下のマークを2周しアビームで少し走ってゴールするものでした。二つ目の驚きは本部船がアンカリングしていなかったことです。水深が346メートルもあるせいでしょうか?

レースの模様は、全レース観戦したのですが2クラス混合(スタート時間をずらした)、観覧船が移動して見る角度が変わり正確な位置関係が把握できなかった、慣れないビデオカメラを操作していたのでレース内容に集中できなかった等で参考になるレポートが書けません。

B3クラス
R1 上マーク直前でイタリア艇が日本艇の前をポートで横切ったので抗議を出し、イタリア艇は1回転した。
R2 2回目の上マークをトップで回航したが風が無くなりノーレースになってしまった。非常にアンラッキーであった。
R2 各マークをトップで回航し1位でゴールした。
R3 リコール旗が揚がり、戻ったので最後尾のスタートとなった。
R4 風が強かった(1ポイントリーフ)せいか奮わず。
R5 マーク側からポートでジャストスタートし、スタボー全艇の前を横切る見事なスタートだったがその後奮わず。
R6 風待ち後延期 R6 上、下マークを2位で回航したが、その後3位に落ちコース短縮で3位でゴール。
R7 スタートラインから押し出されてリコールされ、戻ったので最後尾のスタートとなった。その後1艇抜いた。

B2クラス
R1 各マークを7位で回航、7位でゴール。最終結果はDSQになった。
R2 スタートは2番目くらいの良いスタートであった。上、下を7位で回航
   2番目の上を5位で回航したが、下マーク直前で北アイルランドに抗議を出されて1回転したので7位に落ちた。
R3 上マークを8位で回航したが、その後1つ抜かれて9着。
R4 3番目くらいの良いスタートを切ったが2回目の上マークを6位回航し6着でゴール。
R5 スタートラインへの寄せが少し早すぎたので戻ったら最後尾になってしまったが、1つ抜いてゴール。イタリア艇のDSQ等で7位。
R6 上、下マークを7位で回航、その後1つ抜いてゴール。イタリア艇のDSQ等で5位に浮上した。
R7 2番手くらいの良いスタートだった。他艇にリコールがあった。イタリアと1,2位を争う良い走りであったが、上マークの少し手前でタックした後、後続艇にスタボーで抑えられて後ろを回るはめになり上マークを7位で回航し、7着でゴールした。イタリアは後続艇の前を横切れたので1位でゴールした。残念だった。

B1クラス
R1 着順不明、テキサスチームのDNF有り、最終結果は5位。
R2 着順不明、ニュージーランドチームのDSQ等有り、最終結果は6位。
R3 上マークの少し手前迄は2番手の位置取りで良い走りであったが、マークに向けてのタックが僅かに早かった事と、艇が下に回り過ぎてしまった事などでもう1度タック・タックしたが他艇がすぐ横にいたりしてスピードが落ちて後続艇がどんどん先を行く中、マークタッチに陥る最悪のケースになった。さらにペナルティ解消に手間取ってついに最後尾になってしまった。が、この後良い走りをして4艇ぬいた。惜しかった。
R4 上マークの手前で抗議され1回転した。その後1艇ぬいたが奮わず。
R5 スタートで出遅れた。上マークは2回とも9位だったが頑張って7着でゴールした。
R6 奮わず。

感想
メダルは取れなかったが、ある瞬間、瞬間を捉えればトップグループに位置している時があるので、その状態を持続できるように、点から線になるようにしたい。特にB3チームはR2が1位だったし上位に食い込む実力は十分にあったと思う。タック等の基本練習と併せてスタート、回転、他艇との競り合いやミーティング等応用練習に励みミスを減らすようにしていけばメダルに手が届くようになると思う。ブラインドの方はサイテッドに全面的に頼らないで自分のできる範囲でイメージトレーニングや研究に励んで欲しいと思います。