定期練習2006年4月1日
文 伊藤常男、鈴木克己
日時 2006年4月1日 10時 夢の島集合
天候 快晴、気温16度。
南南西の風、風速3?5メートル毎秒、波高0.5メートル
参加者17名(敬称略)
サイテット 秋山、児玉、坂本、竹内、橋本、堀江、竹脇夫人、岩本夫人、岩本ベビー「リナ」、佐藤恵美、五月女
ブラインド 竹脇、岩本、安達、伊藤、佐野、鈴木
使用艇 あほうどり
協力艇 スパークリンククラウド(児玉氏所有)
「あほうどり」組の報告 鈴木克己
乗員(敬称略)
サイテット 橋本、堀江
ブラインド 竹脇、佐野、安達、鈴木
2艇に分乗し10時45分もやいを解く。
天気は上々、波穏やかな春の東京湾へ向けて船足を速める。荒川の河口をでたところでセールを揚げる。
協力艇「スパークリングクラウド」はシニア・クルーズと洒落込んでのどかな東京湾を滑るように走りだす。
訓練艇の命を受けた「あほうどり」は、総監督竹脇さん、スキッパー橋本さん、セールコーチ堀江さん、客員クルー佐野さん、ヘルムス練習生安達さん、トリマー練習生鈴木の6人構成で訓練が始まる。
今日は堀江コーチによるメインシートの扱い方の訓練を行う。
始めてのトリム訓練。「今日は基本から教えてください」との希望に座学と実践の同時並行。その訓練ストーリーを以下に記載しておく。
1.艇の推進力はメインセールのトリム技術で決まる。
・エンジンの回転数を落とし、艇を風位に向けて、ハリヤードを引きセールを揚げる。
・クローズホールドでは、まずメインシートをセールのリーチリボンが適切に流れるまで引きロックする。
・メインシートの引き加減は、リーチリボンの流れ方を見て確認する
・次にブームが船体中央の位置になるように、トラベラーを風上に移動させる
。
・トラベラーを船体中央に固定するとメインシートを限度一杯引いてもブームの位置は風圧によって風下へ移動するので、風が一定以上強くならない限りは、常に風上側に寄せておく方がよい。
・また、風の変化(=強弱)によりメインシートを出し入れした場合は必ずトラベラーの位置も調整する必要が生ずる。
・たとえば、風が強くなってメインシートを引いたときはブームが風上側に移動するのでその分トラベラーは風下側に出す(風が弱くなったときはその逆)・但し、強風のコンディションではトラベラーのコントロールでは追いつかないため、トラベラーはセンターに固定してメインシートの出し入れでコントロールすることも起きる。
2.タッキングによって艇速を落とさない。
・風が安定していればトラベラーの操作を適切に行うだけでスムーズなタッキングがおこなえる。
・ヘルムスマンが舵を切って船が風上に回転を始めたらトラベラーをできるだけ風上側に引き寄せる。
・艇が風位を越えて新しいタックで風をはらむまでの間に体を反対舷に移動する(タック後、トラベラーは風下側にある)。
・タック直後はスピードが落ちるので、しばらくしてスピードが回復するのにあわせてトラベラーを風上に引き寄せる(タック直後にあわててトラベラーを引くとブレーキがかかる)。
・タック後にスピードが完全に回復するまでの時間はコンディションによっても異なるが、うまくタックを行った場合でも最低10?15秒程度は必要。したがって、思っている以上にゆっくりとトラベラーを引いていくくらいでちょうど良い。
3.風の力を最大限にいかす。
・風速が高まるとヒール角が増すのでできるだけ体重を外側にかける。
4.チームワークのための「報・連・相」
・トラベラーの移動やシートの出し入れは、ヘルムスとスキッパーへ事前に連絡して行う。
・各ポジションで行う動作に限らず、自分が感じていること(たとえば風の強さや船の走っているイメージ)を声に出して他のメンバーに伝えることは大変重要。
・とりわけ、何かトラブルに陥ったとき(たとえばシートが絡んでしまったなど)は早期の伝達がダメージの減少に繋がる。
・これはブラインドセーリングに限ったことではなく、一緒に船にのるメンバー全員でセーリングやレースをより安全に楽しむためにも習慣づけることが大切。
この基本に従って練習が繰り替えされた。
メイン・トリマーの役割も結構忙しい。「タックやジャイブのたびに、首を引っ込めて右へ左へ移動するだけではなかったのだ。こりゃ、大変!」。
スキッパーのもとに、ヘルムス、メイントリマー、ジブトリマーが的確に行動できなければレースどころではない。
「小休止」と言われたとたんに緊張がほぐれたのか、肩や足腰の疲れを感じた。
14時から岩本ファミリーの送別会があるので、軽い昼食をとり13時40分マリーナに戻る。
ここでは3本のとも綱をバウのクリートに止める作業をさせてもらう。
かけ方にも順序が有り、数回やり直してやっと合格点をもらった。
短い時間ではあったが充実した訓練に心は爽快だ。
一日指導してくださった橋本さん、堀江さん、竹脇さんありがとうございました。心からお礼申しあげます。
「スパークリング・クラウド」組の報告 伊藤常男
乗員(敬称略)
サイテット 秋山、竹内、坂本、竹脇夫人、岩本夫人(キャレン)、初クルージングの岩本ベビー(リナ)
ブラインド 岩本、伊藤
10時45分、重厚なエンジン音を響かせて出港。
鉄橋を越え、ディズニーシー沖で帆を張る。軽やかに水面を滑り始めた。
岩本パパさんが舵を握る。娘を前にやや緊張気味か、でも順調に航行。あほうどりを意識しつつ訓練に入った。
だけど皆の関心はリナちゃんに釘付け。写真を撮ったりあやしたり、アットホームな雰囲気。
リナちゃんはしごくご満悦な様子。ティラーに興味をしめし始め、小さい手でしがみついた。しばらく楽しげな様子。
見ている者は異口同音に「クイン オブ ヨット」アメリカJBSA誕生間違いなしと言う。将来が楽しみ。
竹内さんはジブトリムに集中、「ちゃんとやってるとこを、写真にとってね」と、坂本さんにアピール。
キャレンさんは2年ぶりのセーリング娘さんの世話をしながらうれしそう。
途中からヘルムスが伊藤に代わる。怪しげな走り方をしながらも、サイテッドの方々に支えられて、なんとかあほうどりと互角の勝負。
12時半、帰途に着く。
今日は風・波ともに穏やかなクルージング日和だった。
【米国移住の送別会】
岩本ファミリーの送別会は予定通り、マリーナ2階のレストランで行なった。
療養中の佐藤恵美さん、五月女さん、岩本さんの後輩でミュージシャンの佐野さんも今日のために駆けつけてきた。
竹脇さんの挨拶と乾杯で会は始まる。
1週間後にはサンディエゴの人になりますとの岩本さんの挨拶に一瞬こえがくぐもる。キャレン夫人との結婚。あほうどりの回航。リナちゃんの誕生。全日本ブラインド・セーリング選手権への参加。思い出は参加者の脳裏を駆け巡る。
話題はいつしかブラインド・セーリングの日米の架け橋への期待へと広がる。
名残は尽きない。引っ越し荷物の片づけもあること、再会を約して17時散会した。
いつ会っても明るく快活な岩本さん。いつまでも楽しい仲間としての交友をつづけてもらいたい。
宮本ファミリーのますますの繁栄とご健勝を祈りつつ、9月のワールドで再会できますように。
では、ブラインドの皆さんも5月のワールドの選考会に向けて技術を磨き、その成果をぶつけ合いましょう。
サイテットの皆さん、本日も大変お世話になりました。心からお礼申しあげます。
これで、東京から4月1日の活動報告を終わります。以上、伊藤・鈴木でした。