第5回、第6回TYCレース参加報告

文 鈴木克己(JBSA東京)

第5戦報告

日時  2007年7月21日 
集合  夢の島12時、艇長会議13時、出港13時、スタート15時、表彰式第6戦終了後。
天候  薄曇り、気温26度
風   南7?8
使用艇 あほうどり
参加者6名(敬称略)
 サイテット 二瓶、児玉、橋本
 ブラインド 竹脇、安達、鈴木

今日はトワイライト・レースのため午後からの競技となった。これまでの参加者と異なり女性や子供、障害者が目についた。
話によると女性・子供・障害者を乗せている艇にはボーナス点が与えられるらしいとの話だ。「あほうどりにも障害者が乗っているから表彰台間違いなしだね、チューニングもばっちりだし!」とにわかに活気づく。

早速出艇届を提出し、ピンク6のレース旗を受け取る。艇内の重い荷物は全て桟橋に降ろし揚々として13時25分出港。
東京湾にでると風は7強、エンジンは全開、波高1程度と思われるがうねりがあるのか波を切るたびに大量のスプレーを浴びる。
50分ほど走ったあたりでセールを揚げ、スキッパー橋本、ヘルムス安達、メントリ鈴木、バウマン二瓶、ジブとり児玉・竹脇の分担で配置につく。
コミッティーボートから「あほうどり確認しました」とのチェックを受けて、スタートの場所取りに入る。
5分前のフォーンが響く。声は絶え、全員の気持が一点に集中していくのを感じる。1分前のフォーンとともに秒読みが始まる。緊張は頂点へと上り詰めて行く。「スタート」の声に促され、一斉に行動を開始。この緊張感には何とも言えない快感を覚える。

クルーザー・クラスの8艇が上マークを目指して一斉に走り出す。風と潮と波を活かし技術の限りを尽くすレース。常に前例の通用しないレース展開が求められるセーリング競技。
体験の積み重ねに裏打ちされた技術と直感を引き出す智恵と決断、そこに人は引かれるのかも知れない。
どこかで「スタボー、スタボー」との声。接近戦になっているようだ。そのうちにあほうどりからも「スタボー!」の声が挙がる。ポート艇が近づいてきているようだ。一瞬緊張が走る。

上マークを回って間もなく風向きが変わった。「コース短縮のようだ、ゴールはどこだろう」。
下マークを回ったところでヘルムスを安達さんから竹脇さんに交代する。「上ゴールのようだね」、艇は安定して直進する。
まだゴール・ラインは見えてこない。そのときバウの方から「本部艇の先を曲がったところのようです」と知らせてくる。私にとって始めてのことに、このようなこともあるのかとヨットレースの不思議な一面を知る。

目標が見えたので全員元気になり「前の2艇をカモろう」との発言に一気に気合いが入る。「行けるぞ、行けるぞー!」。
先行二艇の脇をすり抜けてフィニッシュ。「やったぞー」。そのときフォーンが一段と高く鳴り響いたように聞こえた。緊張の70分から解き放たれる。
児玉さんから「ご苦労様。乾杯しよう」と言われわれにかえるそのときのビールは喜びの音を立てながら全身にしみわたっていく。
興奮の余韻をのこして17時20分バースへ戻る。

シャワーで汗を流したあと、18時30分からのパーティーに参加する。
会場ではボサノバの曲が演奏され賑わいを盛り上げていた。
互いにあいさつを交わし、拳闘をたたえ盃を重ね、いろいろな人との交流の輪が広がる。

今日の成績は明日の表彰式で行うとのことなので、20時10分に散会した。
児玉さん、二瓶さん、橋本さん、安達さん、そして佐藤さんは船に泊まるので私一人家にもどることになった。
明朝は弁当を調達し8時までに来ることにして夢の島をあとにする。お休みなさぁーい。

第6戦報告

日時  2007年7月22日 
集合  夢の島8時、出港8時30分、スタート10時、表彰式15時。
天候  霧雨のち晴れ、気温27度
風   北東1?2
使用艇 あほうどり
参加者6名(敬称略)
 サイテット 佐藤、二瓶、児玉、橋本
 ブラインド 安達、鈴木

「お早ぅー!」。スッキリした顔で全員そろう。手早くアトリュームで食事を済ませ8時35分エンジンを響かせる。
昨日に比べ風は微風で波も無い、これでレースはできるのだろうか。心配しながら船足を速める。
4月の第2戦のこともあったので、スタートラインに沿ってゆっくり流しながら合図を待つ。
それでも予定の10時丁度に第6戦は始まった。

「ラインを越えて、うまくスタートしたよ」それでも風は弱く船足は上がらない。
スターボードのままでじっと我慢の子になる。ときおり風を感じては前へ進むがまた船足は落ちてしまう。
上マークまでたどり着き回航しスピンを揚げたが相変わらずだ。周りの艇も同様だ。
既にスタートして1時間40分を超えている。

周りの船の様子を見ていた児玉さんが「あの船、変なスピンの揚げ方をしているよ」との声に「本当だ」と言って笑い出す。「あっちの船はマストにスピンをからませてしまって動けないのじゃない」と言うと皆が吹き出し、「はるか先を行っていた船に追いついたのだね」、「あの2艇はカモだね」とそれまでの沈黙が破られた。
じっと我慢の子をつづけていたあほうどりはその船を流し目に見て、ゴールのフォーンを聞く。スタートしてから既に2時間が経過していた。

「微風でも完走できたね、お疲れさま」と言ってビールで二日間の拳闘を称え合った。

バースに戻り、桟橋に出しておいた荷物をキャビンに格納しアトリュウムで表彰式を待つ。
表彰式が始まる。
主催者の挨拶につづき、順位決定のルール説明が行われた。

突然あほうどりの名前が呼ばれる。
「第5位あほうどりの皆さんです」との発表に、会場からはどっと拍手が沸き起こった。
全員正面にでて喜びを返す。
心の準備のなかった私は「あほうどり」の名前を呼ばれたときは一瞬戸惑った、
しかし正直、嬉しかった。夢の島に「JBSA」の旗を揚げた年に入会させてもらい3年、サイテッドの皆さんに支えられ、そのあとをついてきただけの私がこのような場に出会えたことに、ただただ感謝と言うしか表すすべはない。

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