2021年11月28日 JBSA東京 活動報告
JBSA東京 活動報告 2021年11月28日
不定期活動
【活動日】2021年11月28日 日曜日
【参加者】7名(順不同敬称略)
ブラインド:伊藤, 田口, 殿垣内
サイテッド:竹内, 児玉,竹下, 副田
【使用艇】あほうどり(夢の島マリーナ)
【出港時刻】9時58分
【帰港時刻】12時40分
【航行時間】2時間42分
【走行距離】21.9キロメートル
【天気概況】曇り, 12度, 風速10メートル前後
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十数メートルの風速の中、あほうどりは45度とオーバーヒールしながらクローズホールドで、7ノット以上は出ていると思われる速度で疾走した。
「メインもっと入れて!」
「ティラー!落ちてるよ!集中して風を感じて!」
あほうどりのへりに掴まりながら、体全体でティラーを引き上げる。両足は、反対側のコックピット側面にベタッとついていて、もはや立っていると言って良い角度。
ディンギーで、海に投げ出されることに慣れていたせいか、あほうどりやルミナスで、どんなにヒールしても恐怖心を感じたことは一度もなかったのだが、今回は思わず風下に少し落としてしまい、「落ちてるよー!」と竹内先生から注意を受ける。
メイントリマーなら、いざという時、パッとシートを緩めてしまえば、急ブレーキをかけられるが、ティラーはメイントリマーを信じなければならないので怖い。
メインは副田さんで、ほぼ初心者。しかし、田口さんがしっかりついて、細かく指導してくださっていたので安心はしていた。
2019年の全日本に向け、ルミナスで、雨の日も雪の日も、強風の相模湾で練習した最高の日々では、私はずっとメイントリマーだったので、このことを知らずにいた。秋山さん、村瀬さん、菊池さん、お手伝いをしてくださった安西さん、石田さんは、内心気が気でなかったであろうことを、数年経って知った。
今回、ブラインドセーラーを育てることを目的に、有志による練習会を企画してくださったのは、久しぶりに登場の田口さん。竹内先生、児玉先生、竹下先生にお声をかけてくださった。
事前に田口さんからは、「アロンアルファを持って来い」と言われていた。私の手をティラーにつけるとのことだった。ご自身は、「俺は何もやらないからね。ゆっくりしてるから、しっかりティラーを学ぶように。」と仰っていた。
田口さんとしては、のんびりご自身は美味しい飲料でも飲んでいるおつもりだったに違いない。また、体調が安定されているため、こちらも大変お久しぶりであった伊藤さんが、せっかく持ってきてくださったある種の消毒液も、全く出番はなく、お二人ともアテが外れたかもしれない。
マリーナからの出港は、副田さんが担当。なぜかまた、後ろに下がりながら出て方向転換。
セールを上げてからのランニングでは、田口さんがティラーを担当。私はこの時点では気楽にメインシートを持っているだけだったので、後方からのみかけの風が弱くても、あほうどりが疾走している様子を海面を覗き込んで確認することができた。
久しぶりのヘルムス役に、田口さんは最初苦労されているようだった。しかし、さすがタップダンサー、ややもすればすぐに左右に揺れてしまう強風でのランニングを、見事に安定させていた。
かつてはローリング族だったかもしれないが、ヨーイング族ではないようであった。
あまり南下しすぎると、この風では帰るのが大変だということで、クローズホールドで北上することにするあたりで、田口さんから私にティラーを交代した。
その後、冒頭のような練習が始まったのだが、ここで一つ、重要なことを記しておかなければならない。
それは、竹内先生が、私のティラーを褒めてくださったという事実である。しかも複数回、お褒めの言葉をいただいた。
田口さんに至っては、相当に私を持ち上げてくださった。
出来の悪い生徒というのは徳なもので、日頃の評価が低いものだから、ちょっと良い結果を出しただけでも、こうして大先生や先輩から、お褒めの言葉を頂戴することができる。
まあ、実は、非常に微かにではあったのだが、陸ではないかと思われる線がたまに見えた。それを頼りにしていたので、停船させたり沈没させたりせずにできたのだと思う。
と言って、それはパルピットが光っているだけだったりもするので、なんとも言えないが、せっかく褒めていただいたのだから、これ以上は記さずにおこうと思う。
強風下でのタックは、狭いコックピットではおしくらまんじゅうだ。大変申し訳ないが、竹下先生、竹内先生、児玉先生をお尻で押し退け、風上側に移動を繰り返す。
竹内先生が、「今日はもうこのまま帰ろうか。」と、わずか2時間程度で仰り、まだまだ練習したかったが、安全にできるのはこれぐらいがいいところなのかと、帰港することになった。
ルミナス練習でもそうだったが、こうした強風下での練習は非常に楽しい。これは全員というわけにはいかないのが実情だが、私が好きなのは、危険な状態や、レースなどで緊迫した状態になった時、語気を荒げたり怒鳴って指示するのは当然のことであるが、そうであっても、パニックを起こさないセーラーたちと一緒にいることが心地よい。
急いではいるが慌てているわけではなく、常に他の人の動きや状況を見ている、こういう人々と、危険な状況下でリスクをコントロールしていくこのスポーツが、私はとても好きだ。
さて、マリーナへの水門の手前で、竹内先生から副田船長にヘルムスは交代となり、ポンツーンへの着岸。北東からの強風に予想以上に流され、際どい角度でT26へ入る。児玉先生がポンツーンに降りて、ほぼ人力で着岸した。
企画してくださった田口さん、ご協力くださった竹内さん、児玉さん、竹下さん、ありがとうございました。
そして伊藤さん、これを期に、ご無理のない範囲で、またブラインドセーリングに来てください。
報告書作成:殿垣内大介