第7回TYCレース(保田レース)
文 鈴木克己(JBSA東京)
日時 2007年8月26日
起床 4時、出港5時、スタート6時、フィニッシュ13時21分、夢の島帰港16時50分、解散18時10分。
天候 快晴、気温32度
風 北西1?2、午後は7?8
使用艇 あほうどり
参加者5名(敬称略)
サイテット 坂本、二瓶、橋本、
ブラインド 安達、鈴木
「お早ぅー!」。午前4時、全員コックピットへ出てくる。
コーヒーを沸かし、手早くサンドイッチを作って朝食を済ませ、5時エンジンを響かせる。昨日同様、風は微風で波も無い。これでレースはできるのだろうか。心配しながら船足を速める。
予定通り5時55分に第7戦開始の旗が揚げられる。各艇では秒読みが始まる。
スタート1分前のフォーンが朝霧を突いて響く。緊張が次第に高まって行く。
「うまくスタートできたよ」との声にも、これからが勝負とチームの顔には殺気がみなぎっている。
既にスタートして2時間半を超えた。景色には余り変化を感じない。
潮にのってゴミが流れてくる。艇はそれに逆らうようにかろうじて留まっているのだろうか。
周りの様子を見ていた誰かから「大潮の引き潮時間に入っているよ」との声がした。
「岸寄りの船はいくらか動いているね」
スキッパー橋本さん、ジブシート坂本さん、バウマン二瓶さんの真剣なやりとりが伝わってくる。
岸近くにいた艇の方が少しの差ではあっても前進しているようなので、あほうどりもおき網に注意しながら岸寄りのコースを求めて移動する。
それから2時間、ようやく富津岬のあたりなでたどり着く。まだ風は上がらない。
パワーボートが近づいてきて「コースを短縮しマース」と伝えてきた。
「元気づけにビールでも飲もうか!」との声にわれにかえる。
11時半を回ったころから、北西方向の風を感じ始めた。
「今の内に昼食をとろう。今日はカレーライスだ」と言って坂本さんがキャビンにもぐりこむ。ギャレーに点火する音が聞こえた。10分ほどするとカレーのにおいが漂ってくる。腹の虫が「グゥー」とヒト泣きした。
メインシートを握っていた安達さんと、二瓶さんが先に食事をとる。実感をこもった「ウマーィ!」との一言。
風は3あたりまで吹き上げてきた。
それまでスキッパーをつづけていた橋本さんと、ティラーを握っていた私たちは、二瓶さんと安達さんに交代して昼食にした。
全員が食事を済ませ、スキッパーに橋本さんが戻り、安達さんはヘルムスにつき二瓶さんがバウマンに戻り、坂本さんがジブシートに復帰し、鈴木がメインシートに着いたころから風は次第に増してきた。
腹ごしらえのできた私たちには「グッド・タイミングの昼飯だったね。これから行くぞ!」と、気合いが入っていた。
風は5から7あたりまで強まる。艇はヒールする。ティラーはかなり重くなったようだ。メインシートにも指示が細かくでるようになった。今までと一変し今度は風との戦いが始まった。
「ゴールはどこだろう?」、まだ見えない。しかし間もなく見えて来るはずだ。
君津の工場が見え始めたあたりで「あれがコミッティーボートだろう。旗が揚がっているから」。
橋本さんからはヘルムスに対して頻繁に指示が飛ぶようになり、声にも力がこもってくる。全員がゴールの一点に集中する。左前方の4艇はデッドヒートを繰り返している様子。「あほうどりも行けるぞ。それ行け」。朝とは異なる緊張感が頂点に登りつめて行くのを覚える。
そのとき「ファーン」と右手からゴール確認のフォーンが聞こえてきた。思わず「やったーァ!」の声が上がった。6時にスタートして、延々7時間21分のレースだった。
ゴールは第1海塁のあたりで、3時方向には新日鐵の君津工場が見えるとの説明を聞く。
ここから夢の島まではまだ20マイルほどあるので機帆走で帰ることになった。
夢の島の風車が見えて鉄橋を渡る電車の音が聞こえてくると、それまでの心の高ぶりは次第に治まってきた。16時50分無事マリーナに帰港した。
二日間お付き合いくださった坂本さん、二瓶さん、橋本さんお疲れさまでした。始めての体験で大きな収穫がありました。本当にありがとうございました。
結果の発表はありませんでしたが、年間皆勤賞には一歩近づきました。これからも続けて参加できるよう努力して行きたいと思います。これからもよろしくご指導ください。