横浜港ボート天国-「第10回ブラインドセーリング大会」レポート 秋山淳
「横浜港ボート天国ブラインドセーリング大会」は、記念すべき第10回を迎え、9月21日(土)~23日(月)、横浜みなとみらい臨港パーク前面海面と横浜クルージングクラブを会場に本年も盛大に開催されました。
10年前、ブラインドセーリングの認知を高めるための広報を目的としてスタートしたこのイベントは、今では多くの人たちに認められる「ブラインドセーリング」になるきっかけの活動だったように思います。
そして毎年恒例行事として開催されてきたこの大会は、昨年から健常者のヨットレースが一緒に行われるようになり、今年は「第2回東京湾ヨットクラブ対抗ヨットレース」として、ブラインドセーリング大会と併催されました。
9月21日(土)、横浜クルージングクラブにて艇長会議に続いてレース艇の抽選が行われ、その後多くの方々の参加による「前夜祭」が楽しく開催されました。
22日(日)は、ヨットクラブ対抗戦が行われ、横浜クルージングクラブ(YCC)、横浜ヨット協会(YYC)、東京ヨットクラブ(TYC)が上位3チームとなり、翌日のブラインドセーリング大会への出場権を獲得しました。
最終日23日(月)、9:00から臨港パークにおいて「ブラインドセーリング大会」の開会式が行われた後、前日予選通過したヨットクラブの3チームと、5月のブラインドワールドで好成績をあげたJBSAの3チームとが、同一フリートで戦うという、まさにサイテッドとブラインドが対等の立場で競い合うレースの火ぶたが切って落とされました。
当日の気象は、曇り、東寄りの風6~8m/sと、日頃は軽風が多い横浜港湾内もこの日は強風が吹くタフなコンディションとなりました。
今回参加したJBSAの3チームのメンバーを紹介します。(ポジションはヘルム、メイン、タクティシャン、ジブの順、敬称略)
「エオリア」 内村、宇田川、竹内、千葉
「パイナップルプリンセス」 小倉、金輪、堀江、マイランケ
「うみまる」 望月、板倉、戸口、名畑
この3チームは5月のブラインドワールドで銅メダルを獲得、または銅メダルに匹敵する成績をあげた強豪チームであり、サイテッドのクラブチームと互角に戦えると大いに期待されていました。
1レース目から期待通り白熱したレースが展開され、観覧艇からも応援のブラインドセーラーをはじめ各支部の方たちが熱い声援を送っていました。
午前中3レース、午後2レースが行われ、予定された5レース全てが終了した時点での総合成績は、YCCチームが全レース1位フィニッシュという素晴らしい成績をあげ、輝かしい完全優勝を遂げました。
続く2位はYYC、こちらもヨットクラブのサイテッドチームが入りました。
3位にはJBSAチームの「エオリア」が健闘し、総合での入賞を果たしました。
4位は遠来の「うみまる」、JBSA浜名湖支部から久々の参戦で、前日入りや早朝集合など大変お疲れ様でした。
5位にTYC、「あほうどり」がいつもお世話になっている東京夢の島マリーナのサイテッドチームです。観覧艇からJBSA東京支部の皆さんの大声援を受けて健闘しましたが、残念ながら今回は下位に甘んじてしまいました。
6位はJBSAの「パイナップルプリンセス」、ワールド銅メダルチームの選手たちにとっては、今回は今ひとつ不本意な成績だったかもしれません。次回のリベンジに期待したいところです。
総じて、JBSAブラインドチームは、この強風でややボートコントロールに苦しんでいたところが見てとれました。その点、サイテッドの上位2チームは、ヒールを抑え、横流れを最小限に止めていた、このちょっとした差が成績に表れたように思います。
17:00から横浜クルージングクラブで開かれた「表彰式」では、数々のトロフィーや記念の盾が入賞チームに授与され、第3位の「エオリア」も会場から大きな拍手で祝福されて、内村、宇田川両ブラインドセーラーも嬉しそうにしていました。
今回のこの大会は、健常者チームとブラインドチームが同時にそして同一の海面でレースが出来たということに大きな意義を感じます。
一歩海に出ればブラインドもサイテッドも関係ない、お互いがそれぞれの担当ポジションに責任を持ち協力し合って船を走らせる。そしてサイテッドチームとハンディキャップ無しに対等に戦う。私たちが日頃から目指している姿が、この日実現できた大会ではなかったかと思います。
本大会を企画・運営してくださった皆様、ありがとうございました。
応援に来て、観覧艇から声援を送ってくださった皆様、ありがとうございました。
そして強風の中、5レースも頑張ってくれた選手の皆様、本当にお疲れ様でした。